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スワロウテイル

MOVIE 2018.4.9

スワロウテイル

スワロウテイル|日本映画(1996)
監督:岩井俊二
出演:CHARA、伊藤歩、江口洋介

CHARAの歌声に酔いしれる架空の街・円都

架空のバンド「YEN TOWN BAND」がデビューするきっかけとなった本作。企画モノに分類されるのかもしれないけれど、歴代の音楽の中でもトップレベル(個人的に)のバンドと言っても過言ではないでしょう。ちょっとダウナーな雰囲気に、CHARAのハスキーで色気のある歌声。この曲を聴きたいがために、この映画を観る。そんな人もいたのではないでしょうか。ストーリーは「円」が世界で最も力を持っていた時代の話。一攫千金を求めてやってきた外国人違法労働者たちは街を「円都(イェン・タウン)」と呼び、彼らもまた「円盗(イェン・タウン)」と日本人から呼ばれていました。円都に住む、円盗の物語。ダウンタウンでありがちな売春、レイプ、強盗、殺人。そんな劣悪な環境下でもたくましく生きていかなければいけない少女のアゲハは、ある日、自分を強姦しようとしてきたヤクザを殺してしまいます。証拠隠滅のため死体をバラバラにしていると、体内から一万円札の磁器データが記録されたカセットテープが出現。そのデータを元に偽札で儲けはじめたアゲハとグリコ(CHARA)。一万円札が飛び交う描写では、小学生が偽札を使うシーンが問題となり、R指定にまでなった映画です。無国籍な雰囲気の中で流れるYEN TOWN BANDの『Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜』は、その独特の世界観で、視覚的にも音楽的にも、架空の世界を実感のあるリアルなものとしてくれました。2003年以降とまっていたYEN TOWN BANDの活動ですが、2015年、十日町市で開催された「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」で復活し、CHARAの歌声が12年ぶりに響き渡ったのは記憶に新しいところです。