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フランキー・ワイルドの素晴らしき世界

MOVIE 2018.7.2

フランキー・ワイルドの素晴らしき世界

It's All Gone Pete Tong|アメリカ映画(2005)
監督:マイケル・ドース
出演:ポール・ケイ、ベアトリス・バタルダ

聴力を失ったDJの再起ドキュメントと思いきや

スペインにあるイビザ島といえば、パーティーピーポーの聖地。パーティーピーポーって、最近はパリピって呼ぶらしいですね。そんなパリピが昼夜問わずバカ騒ぎをしている島こそがイビザ島。数年前に首都圏でちょっとブームになった、クラブを泡だらけにして水着で踊っちゃうパーティーなんかもイビザで誕生しました。映画の舞台はそのイビザ島。そしてクラブシーンを熱狂させるカリスマDJフランキー・ワイルドこそが、このストーリーの主人公。大箱で数百人ものオーディエンスを沸かせ、レコード会社やスポンサーからも引っ張りだこ。イビザでの富と名声を手にした彼。しかしアクシデントによって、急に聴力を失ってしまいます。DJにとって聴力はなくてはならないもの。音楽と音楽を繋げるために、今流れている音楽を聴きながら、次に流す音楽を聴かなければならないのですから。友人や家族から見捨てられ、ドラッグ漬けになり、一時は死を覚悟するほどに。フランキー・ワイルドがダークサイドに陥るこれらのシーンでは、人気ロックバンドMAN WITH A MISSION(マン ウィズ ア ミッション)のような謎の生き物が幻覚として現れるなど、ドラッグ映画にありがちな中毒シーンがまるで夢の中のように描かれます。数年前にこの映画を観たのですが、この謎の生物のインパクトが強く、映画の印象とイコールになるほど。ストーリーはその後、フランキー・ワイルドは読唇術を教える一人の女性と出会い、再生への道を歩み出します。この映画、困難に立ち向かい再起するヒューマンドラマやラブストーリーの感動的要素もありますが、個人的にはポール・ヴァン・ダイク、ティエスト、カール・コックスなどDJが実名で多数出演しているシーンが最も気持ちが高まります。これからのシーズン、新潟ではFUJI ROCK FESTIVALなど多くの音楽フェスが開催されますよね。出演アーティストの楽曲を聞いて予習するのもいいけれど、こういった音楽を題材したり、シーンとして取り上げている映画もまた、音楽の欲求を高めてくれます。