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虹色ほたる〜永遠の夏休み〜

MOVIE 2018.7.17

虹色ほたる〜永遠の夏休み〜

日本映画(2012年)
監督:宇田鋼之介
出演:武井証、木村彩由美、新田海統、大塚周夫

失われた夏休みを過ごす少年の物語

子ども達はもう少しで夏休みに入りますね。とってもうらやましいと思っている大人がここにいます。でも、子どもの頃の楽しい夏休みは、もう遠い記憶の彼方にしかないわけで…。そんな過去の夏休みを思い出させてくれる映画が『虹色ほたる〜永遠の夏休み〜』というアニメ作品です。事故で父を亡くしたばかりの小学6年生のユウタは、父との思い出の地である「蛍ヶ丘ダム」に昆虫採集にやってきます。そこで不思議な老人を助けたユウタ。山からの帰り道で崖から転落し、気づくとそこは昭和54年のダムに沈む前の村だったのでした。ユウタはその村で、ユウタをいとこと呼ぶ小学3年生のさえ子、近所に住む同い年のケンゾー達とひと夏を過ごすという物語です。背景画が秀逸で、観る者が本当にその時代を過ごしていると思わせてくれるに十分な説得力を持っています。黒電話、キャンディーズ、ダイヤル式のテレビ、ランニングシャツ、ゴレンジャー、カブトムシ、川遊び、花火、そして蛍…昭和や夏休みを語る上で欠かせないアイテムに癒されます。人物の作画はちょっと癖があり、筆で書いたような、時々線が途切れているような輪郭線になっていて、動きもちょっとオーバーアクション気味なので、慣れるまで違和感を感じるかもしれません。もしかすると苦手な人も多いかもしれません。しかし、この作品世界感を素敵に感じさせてくれるのは、全編に流れる松任谷正隆のノスタルジー溢れる音楽。松任谷由実の挿入歌や主題歌も効いていて、作品に爽やかな透明感のある感動を与えてくれています。昭和という時代、ダムに沈んだ村、カブトムシやクワガタムシ、蛍…どんどん失われていくものをテーマにしつつ、変わらず生きていく子ども達を描いている作品。いろいろな物を失ってきた大人に観てもらい、夏休みの感覚を思い出して欲しい…そんな夏の作品です。

BY KAZUAKI YAMAZAKI

山崎一彰

主に特撮系作品、カルト作品の紹介を担当するアラフィフおやじです。ウルトラマンオタクで怪獣とか妖怪とか異形のものに惹かれます。特撮以外ではハラハラ・ドキドキする作品が好きなので、スパイものや冒険ものをよく観ます。中でも007シリーズは全て観ていて、20作目まではDVDをすべて持っています。