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妖怪百物語

MOVIE 2018.7.23

妖怪百物語

日本映画(1968年)
監督:安田公義 特技監督:黒田義之
出演:藤巻潤、高田美和、吉田義夫、神田隆

特撮を駆使して妖怪を映像化した怪談映画

夏の風物詩のひとつに「怪談」があります。現代では稲川淳二さんの「怪談」が有名ですが、風習としての「怪談」は江戸時代から存在していました。それが「百物語」といわれる催しです。集まった人が順番に「怪談」を披露し、終わると目の前のろうそくの火をひとつずつ消していく。そして百話目のろうそくが消えた時に怪異が起こるといわれていたようです。怪異を防ぐため、催しの最後には「憑き物落とし」のおまじないをするのが習わしだったとか。今回紹介する「妖怪百物語」は、「百物語」と当時流行っていた「妖怪」がコラボした作品です。ちょうどオカルトブームの頃だったので大ヒットし、「妖怪大戦争」「東海道おばけ道中」に続く「妖怪三部作」と呼ばれるシリーズに発展していきました。貧乏長屋の取り壊しを巡り、悪徳商人・但馬屋と長屋の住人によるいざこざが勃発。その最中、但馬屋が寺社奉行を接待するため余興で開いた「百物語」の「憑き物落とし」を軽率に怠ったことから、妖怪による怪異が起こり始め、悪人たちが懲らしめられるという物語です。今回注目すべきは、何と言っても主役である妖怪のキャラクターでしょう。鳥山石燕作の「画図百鬼夜行」や、「ゲゲゲの鬼太郎」でおなじみの水木しげるによる妖怪画を元に妖怪が作られています。「ガメラ」「大魔人」など大映特撮映画をはじめ、「ウルトラマン」「仮面ライダー」など特撮テレビ番組のキャラクター造形を手がけた「エキスプロダクション」による味のある造形が活きています。圧巻はクライマックスの百鬼夜行シーン。妖怪たちの行列が夜の町を練り歩くシーンはおどろおどろしさのみならず、どこかコミカルで狂気すら感じるシーンになっています。この作品で妖怪に触れ、日本の夏を涼しく感じてみてはいかがでしょうか?背筋が凍るか、キャラクター造形に興奮するかはあなた次第。