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2018.11.5

世界に一枚しかない貴重な絨毯。
「アートギャッベ」について詳しく聞いてきました!

「駆け出し建築カメラマンの家づくり探訪記」連載5回目の今回のテーマは、絨毯。なかでも個人的にずっと気になっていた「アートギャッベ」なるものの魅力を知りたくて、取材に行ってまいりました!

#05 厳選されたペルシャ絨毯、アートギャッベ

アートギャッベって何ですか?

今回お邪魔したのは、新潟市秋葉区、白を基調としたオシャレな外観が目立つ「ボー・デコール 新潟店」さん。店内には、雑誌でも見たことある有名デザイナー家具やオシャレな雑貨などが多く揃っています。そんな商品群の中でも一際目立つのが、「アートギャッベ」。対応をしてくれたのは、笑顔が素敵な女性スタッフの東福寺さんです。なんと東福寺さん、長岡造形大学のご出身で、学生時代は織物専攻だったというお話。実は「やろうと思えば自分で絨毯を作れる」とか。「ボー・デコール」さんで開催される織物のワークショップの先生も担当しているそうですよ。今回の取材にぴったりの方でよかったです!

— 東福寺さん、いきなりですが、アートギャッベってどんな絨毯ですか?
東福寺さん「はい。アートギャッベというのは、『ペルシャ絨毯』でも有名な南ペルシャの遊牧民の伝統的な生活の道具が発祥で、高地で育てられた羊の厳選された毛だけを使ってできた絨毯(ギャッベ)のことを言います。当社では、現地に赴いて、羊毛の質、織りの技術、優れたアート性を感じる作品だけをセレクトし、アートギャッベとして1枚1枚大切に紹介させていただいております」

— やっぱり高価なものなんですよね?
東福寺さん「そうですね。ただ、ペルシャ絨毯はシルクや細い毛を使って、何十年もの歳月をかけて織られる絨毯ですが、ギャッベは毛質の太いものを使用して織り行程を短縮化しているため、より実用的な絨毯となっています。もちろん、ひとつひとつ手作業で織られているので、絵柄の作品としては世界でたったひとつしかない貴重な絨毯であることに変わりはありません」

— ギャッベも、ペルシャ絨毯を作っている人達が作っている絨毯ですか?
東福寺さん「根本的に異なります。基本的に別の織り手さんでギャッベは作られています。そもそも、手織絨毯の起源としては、ギャッベなどの遊牧民系の絨毯が先で、その手織り技術を生かしてシルクなどの高級素材を使って、王宮などで使われる高級品として生まれたのがペルシャ絨毯です。ペルシャ絨毯は設計図があり、職人が織りあげる絨毯で、ギャッベは下絵程度があっても基本的に頭の中のイメージを即興で織り上げる絨毯です。ペルシャ絨毯は職人さん、ギャッベは作家さん・クリエーターさんというイメージでしょうか。ちなみに、今は工場で機械組をして大量に絵柄を作ったギャッベも多いですが、当社で扱っているギャッベは、職人さんの手仕事だけで作られたもののみを取り扱っています」

時代背景、作家性、様々なものが織り込まれている。

「ボー・デコール」さんで扱っているギャッベは、糸紡ぎ、草木染め、職人の手織り、刈り揃え、品質チェックまで、すべてが職人さんの手仕事で生産されたもの。そこには大量生産では実現できない、職人さんひとりひとりの経験や感性、歴史を感じられます。ギャッベの絵柄は、なんでも家系ごとに得意なパターンを代々引き継いでいて、「この絨毯は○○さん家で作られたやつ」みたいに家内工業制となっているとのこと。しかも、完全に同じ絵柄は決して作らず、毎回、時代や作り手さんの感性でデザインをブラッシュアップしてるとか。なるほど。それは世界でたったひとつつしかないと言われるわけです。逆に言えば、現代の日本社会では考えられない非生産性ですよね…。でも、だからこそ魅せられるギャッベの世界なのか…と妙に納得できました。

アートギャッベは、何がそんなに上質なのか。

— 手間と時間をかけて、職人がプライドをかけて作っているものだったんですね…。なんかカッコよさそうって見た目の雰囲気だけで取材しに来た自分が恥ずかしいです…。
東福寺さん「そんなことないですよ(笑)基本的には、ギャッベももちろんそうですが、家具や雑貨なんかもデザイン性や利便性で決めていただいた方が、後々後悔しませんから」

— ギャッベの魅力って他にどんなところがありますか?
東福寺さん「ギャッベにはたくさんの魅力があります。まずはやはり柔らかな肌触りですね。これは織りの上質さに加えて、仕上がるまでの工程の手間のかけ方に理由があります。人間の髪が、その人のもって生まれた性質とともに、どんなメンテナンスをしていくかで変わるように、ギャッベにもそのウールが持つそれぞれの個性と、織りあがったあとの仕上げの段階で何度も丁寧に洗いをかけ、トリートメントをすることで生まれるなめらかさがあります。『アートギャッベは他のギャッベと比べてなめらかさが全然違う!』とお客様が驚かれることもあります」

— たしかに、肌触りがすごくいいですよね。でも汚せない…って思って萎縮しそうです。
東福寺さん「ギャッベの中でも最も織りの細かなものを厳選しているアートギャッベは、普段のほこりやごみも奥まで入り込みづらいため、掃除機掛けをすれば衛生的に使える絨毯です。毛足の奥に入ったごみや食べかすを一番の住みかとするダニですが、その心配が少ないのがアートギャッベの特徴のひとつです。そして上質な羊毛にはラノリンという油分も豊富に含まれています。一般的に製品にする過程でその油分があると色が染まりにくく、そして油分のみでも化粧品の原料として重宝されるため、油分を抜いてしまうことがほとんどです。そうすると毛はつやを失い、切れやすくなったり、汚れが染みやすくなってしまいます。アートギャッベに使われるウールはこの油分を適度に残し、じっくりと時間をかけて色を染めた後、丁寧に洗いの工程でトリートメントを施しています。そのことで汚れに強く、汚れても馴染み風合いにかわる上質さを兼ね備えることができるんです」

— 季節感的にはどうなんでしょうか?
東福寺さん「寒暖の激しいイランの高地で住む羊の上質な毛を使用しています。寒暖差や湿度差に敏感に順応してくれるからこそ、夏はさらっと気持ちよく、冬はあたたかな空気をため込んでくれるので、一年中快適に使うことができますよ。ウールのひとつの大きな特徴として、湿気を吸って、発散してくれるという力があります。梅雨時にウールが湿気を発散してくれるので、アートギャッベを触るとサラッとした独特の気持ちよさを感じることができます。『冬も好きだけど夏の感触が特に好き!』という方が多いのも、この上質なウールを使っているからこそのアートギャッベの特徴です」

— この美しい色合いはどうやって出しているんですか?
東福寺さん「アートギャッベの特徴のひとつが草木染の色合いです。現代のギャッベは時代の流れで化学染料の糸を使われることも多くなっています。ですが、伝統的な草木染の工程を整えて作られたギャッベの中から厳選しているため、アートギャッベはそのほとんどが草木染め。その奥深い色合いに魅かれて興味をもたれる方が大変多くなっていますね」

— 子どもが見たら「魔法のじゅうたん」みたいに見えるかもしれませんね。
東福寺さん「お子さまにとって、じゅうたんは世界そのもの。いつもその上で大好きな遊びをしたり、家族で過ごしたり、お勉強をしたり。特に小さなころは、その色合いや表情をいつも目にすることで、感覚や感性が養われます。そして子供のころから使っているじゅうたんが大きくなっても家にずっとあること。その体験は、言葉で「ものを大切にしなきゃね」と言うより何倍もお子さまの心と体に染みこむはずです」

アートギャッベの選び方。

— 世界でたった一枚のアートギャッベの世界。買う方は悩みますよね(笑)
東福寺さん「そうですね、悩まれる方がほとんどです(笑)」

— 選び方のポイントってあるんですか?
東福寺さん「私たちはいつも『お客様の直感を大切にして下さい』とお伝えしています。アートギャッベは、すべてが一点ものになるので、同じものは二度と手に入れることが出来ません。イメージとしては、家族が増える。そんなつもりでご紹介していますね」

— かなり個性的な柄や色のものが多いので、リビングに置いたらすごいインパクトですよね。
東福寺さん「そうなんです。しかもアートギャッベは通常のラグや絨毯と違って、30年~50年と長持ちします。なので、その『家族が増える』という感覚は、そのご家庭のシンボルとして、『あぁ、ウチに帰って来たな』って思える。そんな存在に近いんですね。なので、普通、ラグや絨毯を購入する際は配置する場所の寸法などから逆算して選ぶことが多いともいますが、アートギャッベに関しては、お客様のこれだ!と感じたものをお選び頂いた方が後悔しないかと思います」
— なるほど、確かに、僕の実家にも「絵画」があるんですが、それを見たときに、「家に帰った」と感じるあの感じ、ですね?そう考えると、アートギャッベって絨毯だけど、「絵画」に近い歴史や芸術性をもってるので、一生モノの買い物かもしれません。そう思うと結構安く感じますね。
東福寺さん「ありがとうございます。そうですね、通常のラグや絨毯は3〜5年で買い替えないといけないってものもあるので、そう考えていただければ決して手の届かない高級品ってことはないかと思います。そして、ご家族の健康や、比較的手入れが簡単なこと、お部屋のシンボルとしての価値、それを考えてみると、とてもおすすめできる絨毯です」

アートギャッベを主役にした家づくりも面白そう!

ただ単純にアートギャッベって何かかっこよさそう。そんな気持ちで取材をした僕でしたが、お話を聞いて、その芸術性と歴史、完成度の高さに驚きました。この気持ちを例えるなら、ピカソの絵は知っていたけれど、偶然テレビで見たピカソのドキュメンタリーに感化されてファンになった、みたいな感覚です。今回の取材で確実にアートギャッベのファンになりました。さすがに「リビングに置く一枚ものを大人買いだ!」ってしてしまったら奥さんに怒られそうだけれど、仕事部屋用に小さいサイズのものをこっそり購入しちゃおかな?って今、ちょっと考えています。いつか、アートギャッベの雰囲気に合わせてリビングデザインや玄関のデザインを考えてみるのも面白そうです。「ボー・デコール」の東福寺さん、今回はありがとうございました!

ボー・デコール新潟店さんのHPはこちら

この連載の発信者

ミズシナケンタ

新潟市在住。アパレルやエディトリアル、企画プランナーなど様々な仕事を経て、現在は駆け出しの建築カメラマン/ライターを兼業してしていろいろなビルダーや関連企業を見学中。家づくりのデザインやアイディアにいつもワクワクする好奇心旺盛な30代。

ボー・デコール新潟本店

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